大過去の使い方

1.大過去を使うことで得られる効果

「大過去」と聞くと、どこか仰々しい響きがあると感じてしまうのは、私だけでしょうか。

ですが、中身を解きほぐしていくと使い方は案外シンプル。フランス語日記を書くのにも大過去はとても役立ちますので、今日は大過去の使い方についてご紹介します。

※ 日記の書き方については、本書の第2部でご紹介していますので、ご参照ください。

過去の出来事を、時系列順に述べるとき、「複合過去 ① → 複合過去 ② → 複合過去 ③・・・」のように述べていきます。こう見ると、複合過去だけで事足りそうです。

具体例を挙げてみます。
たとえば、「① ニワトリが鳴いた → ② 目が覚めた → ③ 目覚ましが鳴った」は

Le coq a chanté. Je me suis réveillé. Le réveil a sonné.

と言うことができます。もちろんこれでもよいのですが、ちょっと間延びした印象を与えてしまう恐れがあります。

そこで、役立つのが「大過去」。文章に緩急をつけてくれて、「複合過去①→複合過去③←大過去②」のように、時系列順に述べる必要がなくなります。

大過去を使うことで、上の例では「① ニワトリが鳴いた → ③ 目覚ましが鳴った ← ② そのときすでに目が覚めていた」

Le coq a chanté. Le réveil a sonné. Je m’étais réveillé. と言うことで、② をより強調することができます。

2.「~したときには、すでに~だった」

大過去が使われる例には、次のようなものがあります。

1.彼女が駅に着いたときには、 マルセイユ行きの列車はすでに出発した後だった。
Quand elle est arrivée à la gare, le train pour Marseille était déjà parti.
英:When she arrived at the station, the train to Marseille had already left.

この文では、書かれた順に物事が起きたのではなく、複合過去で述べられた出来事よりも「前」に起きた出来事が文の後半で述べられているので、後半が大過去になっています。

仮に、前半と後半の順序を入れ替えた場合、大過去を用いる必要がなくなります。

2.彼女は出発前に仕事を終えていた。
Elle avait fini le travail avant son départ.
英:She had finished work before departure.

ある過去の出来事が名詞で述べられている場合(ここでは son départ)、その出来事の時制を判断することはできません(未来・現在・過去のいずれも可能性としてあります)。ですが、この文では主節の動詞が大過去であることから、名詞で述べられている出来事(son départ)は、複合過去に等しい時制だと理解できます。

ちなみに、主節が複合過去の時は名詞が現在、前未来(=英語の未来完了)の時には名詞は単純未来で表しうる出来事だと理解できます。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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