「一杯のポルト」と「一杯のワイン」につける冠詞の使い分け

留学時代、ホームステイ先のマダム(おばあさん)が、健康のためにポルト・ワインを毎日欠かさず、すするようにして飲んでいました。

ポルト・ワインはポルトガルのお酒ですが、フランスでも好んで飲まれます。

さて、フランス語で 「一杯のポルトを飲む」 は、Je bois un porto. と言います。un は、男性名詞の前につく不定冠詞で、「ある一つの」という意味です。

では、「ワインを飲む」は、Je bois un vin. といいでしょうか。


答えは、Je bois un vin. とはいわず、Je bois du vin. といいます。du は、男性名詞の前につく部分冠詞で、「あるいくらかの」という意味です。

ポルト・ワインもワインも「お酒」であることは同じなのに、なぜ、つける冠詞が異なるのでしょうか。

その理由は、フランス人の潜在意識に、「ワインの種類の多さ」というのがあるからだそうです。

フランスには数えきれない種類のワインもあり、赤ワインだけとってみても、産地ごとにカテゴリーが存在し、その下にもさらに数えきれない種類のワインがあります。 

なので、Je bois un vin. と言ってしまうと、un が指す内容の幅が広すぎて、それを聞いたフランス人は「どんな種類のワインのことなのかさっぱりイメージがつかない」という状態になってしまうのだそうです。

ですが、もし Je prends un (petit) blanc / un (petit) rouge. のように、ワインの色を示す単語であれば、イメージが具体化するため、un と一緒に用いることができます。

もし、不定冠詞と vin という単語を一緒に使うなら、

Je bois une bouteille de / un verre de vin. のように 

量を表す表現を使うのが一般的です。

シャンパンもワインと同じ扱いで、「シャンパンを飲む」は、Je bois du champagne. 「一杯のシャンパン」は Je bois une coupe de champagne. といいます。

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